一経営者の四方山話

個人的に関心を持っているイシューについて考えたことを書いています。経営、経済、文化、学問など多岐に渡ります。

判断疲れ

PEAK PEFORMANCE 最強の成長術(ブラッド・スタルバーグ/スティーブ・マグネス著、福井久美子訳、ダイヤモンド社、2017-11-22)を読んでいたら、以下のような記述があった。ちょっと驚いた。 p.227裁判官には、提出された証拠に基づいて公正な判決を下す責…

日本人のプレイボーイ

米国にいた時に聞いたジョーク。何回か聞いたことがあるので、多分有名なジョークなんだろう。「世界で4つ存在しないものがある。アメリカ人の哲学者。イギリス人の作曲家。ドイツ人のコメディアン。日本人のプレイボーイ。」 実際はそれぞれ存在するわけだ…

新年の決意の達成がなぜ難しいか

タバコを辞めようと思ったら、交友関係を見直さないで辞めることは困難であろうことは容易に想像がつく。なぜなら喫煙家は喫煙家の友人を多く持ちがちであり、喫煙家と一緒に食べに行ったりしたときに禁煙を維持しようとするのは難しいからだ。同様に、新年…

人体六〇〇万年史と経営

人体六〇〇万年史 (ダニエル・E・リーバーマン著、早川書房)を読むと、類人猿と違って人間がなぜ文化を発達させたかと言うことについて、大脳発達よりも「骨盤の形状が変わって、左右にぶれずに、二足歩行で、長距離歩けるようになったこと」が類人猿と分…

教訓を学ぶ勇気

『御嶽山噴火 生還者の証言』(小川さゆり著、ヤマケイ新書、2016-10-05)の著者は、2014年9月の御嶽山の水蒸気爆発による噴火時に頂上近くにいたのにも関わらず、なんとか生き残った山岳ガイド。本の中に以下の記述があった。(p.150) 「たいてい言っては…

誤嚥事件

晩御飯を食べながら笑った時に誤嚥(ごえん)して、約90秒ほど呼吸ができなくなり、死にそうになった。家族によれば顔色がパープル(←次女の言い方)になり、土色になって、電話で救急車を呼びかけたところで、呼吸できるようになり、なんとか生き残った。…

ナメクジとカタツムリと企業戦略

ナメクジとカタツムリは似た生物(どちらも軟体動物門・腹足綱)だが、化石の解析から以下のことが分かっている。(足立則夫著『ナメクジの言い分』が詳しい。) 3億1千万年ほど前にカタツムリは現れて、2億年ほど前にナメクジが登場している。つまりナメ…

理不尽に見える学校のルールが意図していること

中学生2年生の長女から「なんで学校に化粧して行っちゃ駄目なの?」という質問を受けたので、理由を考えてみた。化粧したからといって法律違反であるわけではなく、特定の誰かを傷つけるわけでもないだろう。したがって答えとしては「学校が禁じているから…

企業は成長し続けなければならない存在

この数年、同族企業の経営者と会う機会が多いのだが、「成長願望」が無くて「現状維持」というか「とりあえず先祖代々続いたこの会社を存続させることが私の使命」と割り切っている経営者が散見される。もちろん倒産させるわけにはいかないので存続させよう…

死んだ細胞、生きた細胞、エネルギー効率と生き残り戦略

山で見る木の大部分は死んだ細胞の塊。幹の直径が1メートルを超えるような大木は、98パーセントが死んだ細胞だ。我々が家の柱に使ったりする木材(木部)は死んだ細胞の塊ということ。屋久島の縄文杉などにいたっては99.9%くらい死んだ細胞なのかも…

渋柿と人間性

渋柿が干すだけで甘くなるのは、渋味の元であるカキタンニンが、干すことによって水溶性から不溶性に変化するため、渋味が無くなるからだといわれる。 干し柿の甘みは砂糖の1.5倍あると言われるほど甘いもの。そもそも干される前から糖分を渋柿は持っている…

旧日本海軍のリンチと市場原理

坂井三郎といえば、ゼロ戦のエースとして国際的にも有名なパイロット(かつ戦後は国際的ベストセラー作家)であるが、彼の書いた『続・大空のサムライ』を読んでいて、言葉の端々に彼は日本海軍に畏敬の念を持っていることは分かるのに、以下の記述はかなり…

インタビューの作法

先日、仕事の関係でインタビューされていたんだが、相手の出来が悪すぎて途中で辞めたくなった。何が問題かというと、第一に、インタビューガイドらしきものを作ってインタビューをするのはいいのだが、あまりにそれに固執していて、ちょっとでも外れること…

怪我しやすい選手とそうでない選手の違い

スポーツ選手でも怪我しがちな選手とイチローみたいにほとんど「怪我で欠場」というのが無い選手もいる。この違いには、もちろん体の柔らかさとか普段のトレーニングとかいう要因があるのは分かる。 しかし最大の要因は、実力を100%近く発揮して試合に臨んで…

今我々が生きていくのに必要な「国語力」とは

20代の社員と話していて感じたのだが、ビジネス文書を書かせると、国語力が圧倒的に足りない。それは学校教育で教わる国語力なのではなく、コミュニケーションのツールとしての国語力が圧倒的に足りないことに気付く。うちの娘たちの国語の宿題を見ていて私…

管理職の育成と経営者の育成

経営者の育成を最近よく考える。「管理職の育成」と「経営者の育成」では似た側面と全く異なる側面がある。似た側面としては会社というのは「個人」で戦うところではなく「組織」で戦うところなわけで、その意味でチームワークは不可欠だ。それは管理職でも…

アップル社の「制服」

最近読んだ本にこんなことが書いてあった。 ----- 引用開始 p.137 -----アップルのとある上級管理職がこんな話をしてくれた。昇進を間近に控えていたとき、上司からもしかしたらスティーブ・ジョブズに会えるかもしれないと言われた。そうなったら、かならず…

国際チームのマネジメント能力

大抵の山は一人でも登山できるので、登山という行為は自分との闘いの側面が大きい。しかし、エベレストのような山となると、頂上まで行くのは一人かもしれないけれど、それを支える様々なスタッフがいるわけで、実際は「組織」で登っている。 その意味で高山…

常識という名の偏見

「常識とは18歳までに集めた偏見のコレクションのことを言う(Common sense is the collection of prejudices acquired by age eighteen. Einstein)」とはアインシュタインの言葉。「特定の状態でのみ当てはまる真実」を「どんな時でも当てはまる真実」と勘…

認識とは不要な情報を捨てること

組織内のポジションが上になればなるほど細かいことは調べたり考えたりする暇はなくなるので、物事の本質にしか興味がなくなっていくものだ。部下からの長ったらしい報告を途中でさえぎって「要するに何が問題なんだ?」とか「俺に何をして欲しいのか結論か…

企業の新陳代謝力とベンチャー企業の出口戦略

「誰に向かって何を売るビジネスを営むのかという事業の「立地」や、売ると決めたものを売ると決めた相手にデリバリーするまでのプロセス(これを私は事業の「構え」と呼んでいます)は、思い立ったからといって、簡単に変えられるものではありません。だか…

早く行きたければ一人で進め。遠くへ行きたければみんなで進め:ダイバーシティ論

アフリカの諺で「早く行きたければ一人で進め。遠くへ行きたければみんなで進め」というのがあるらしい。登山でも同様で、単独行の方が自分のペースで行けるから早く目的地に着ける。団体行動だとボーイスカウトの行進みたいに一番遅い人のペースに合わせる…

時を重ねても自分の中に残ること

本を購入した後に読み始めて「あれ?なんか読んだことがあるような...」と思って調べると、確かに10年前に読んでいたりする。でも再度読んでみると、かなり忘れているので、新鮮に読めたりする。 「こんなに忘れているんだったら、読んでいる意味があるの…

人類の身体能力は低いのに比類ない繁栄を謳歌できているのはなぜか?

万物の霊長と呼ばれる人類と言えども、別に各身体的能力が他の動物に比べて優位にあるわけではない。聴力一つとっても、人間が探知できるのは20ヘルツから2万ヘルツの間のみ。2万ヘルツを超える高音域では、コウモリが真っ暗闇を飛行しながら超音波を発…

芸術作品が創られた時の作業環境を想起すること

『色の力』(ジャン=ガブリエル・コース著、CCCメディアハウス、2016−06−05)という本を読んでいたら、以下の記述があった。 --- quote, p.29 ---- かつては、高名な画家であろうと貧乏絵描きであろうと、ろうそくの明かりだけで絵を描いていた。つまり画家た…

たった10セントでこんなに人間の行動は変わる

『マッキンゼー流最高の社風のつくり方』(ニール・ドシ、リンゼイ・マクレガー著、日経BP, 2016-08-01、原題Primed to Perform, How to build the highest performing cultures through the science of total motivation.)という本を読んでいて、最も驚いた…

「無節操に」自分の仮説を捨てる

何か新しいことをやろうとすると、未知の要素が多いので、仮説をいくつか持って始まるわけだが、実際に始めてみると、自分の立てた仮説の正しさを証明しようという意識が強くなりがちだ。でも、仮説思考の価値を生かすために本当に大切なのは「仮説を証明す…

パーキンソンの法則

パーキンソンの法則というと、私にとっては「仕事というのは、時間があるだけ増える」、だから「役人の数は、仕事の量とは無関係に増え続ける」という内容で記憶しているのだが、それ以外に調べてみて考えさせられたのが:「(一人の求人枠について)完璧な…

顧客の意見 vs. 自分の考え

『イノベーションのジレンマ』のクリステンセンの発見を、簡単にまとめると:失敗した企業は、新しいアイディアを無視したわけではなく、それとは全く反対に、多くの場合、問題になっているテクノロジーを率先して開発してはいる。マーケットリーダーなのだ…

自分が持っている前提を疑う

1900年のニューヨーク市では、一日あたり1100トンの馬糞、220キロリットルの尿が路上に垂れ流されていた。市内では毎年何千頭もの馬が死亡し、市当局が腐って膨れあがった死骸を片づけなければならなかった。都会において馬が諸手を挙げて歓迎されていたわけ…