一経営者の四方山話

個人的に関心を持っているイシューについて考えたことを書いています。経営、経済、文化、学問など多岐に渡ります。

新卒の就職難民救済策

 新卒の就職活動がなかなか実を結ばないのは、採用する側から見ると新卒は「役に立つかどうかよく分からないリスクの高く、かつ非常に高価な資産」だから、ということにつきる、と思う。
 大卒の平均生涯所得は2億5千万円。日本では、雇用に関する規制が厳しいので、実質的には正社員を解雇できない。しかし、面接や内申書では判断が難しい。となると、中身がよく分からない高価なものを購入する勇気が出ないのも当然なのだ。
 となると、解決策としてはその価値がよく分かるようにする/なるか、よく分からなくても気軽に採用できるようにハードルを下げるか、のどちらか、ということになる。

1.価値がよく分かるようにするため、インターン制度を充実させる
 これは採用している会社が出てきているものの、全く足りない。インターン募集に対して、おそらく倍率は数百倍から数千倍になっているのではないかと思う。応募される側も膨大な応募者数の中から「当社に対して本当に興味を持っている人」とかを選別するのも大変なことだ。これを解決する方法はブロガーのChikirinさんが言っているように「応募することを有料にする」というアプローチだ。たとえば「応募料として5万円いただきます」となれば、応募者数は激減して本当にその会社で働くことに熱意を持った人しか応募しなくなり、駄目モト的に応募する人は少なくなるはずだ。人数が少なく、かつ応募料を取っているとなると、全応募者に対して企業側も面接せざるをえない。したがって就職活動で「面接にすら至れなかった」という新卒は皆無になろう。

2.気軽に採用できるようにハードルを下げる
 具体的には雇用関係の法律改正して、理由のいかんなくいつでも正社員を解雇できる、ということにすれば、比較的気軽に採用できるため、もっと就職難民は劇的に減るだろう。ただし既存の正社員の一部が仕事を失うことになるため、法改正には相当な困難が伴う。
気軽に採用・解雇がしやすいということで、米国のような労働市場、ということになる。新卒の学生たちは、まず採用されて自分の実力なりポテンシャルを発揮する機会を与えられない限り、何も始まらないのであるから、まずその機会を均等に与えられやすい状況を作らないといけない。そのためには既得権益になっている既存の正社員の一部は犠牲にならざるをえないのだろう。これを政治家がやるだけの勇気があるのかどうか知らないが、論理的にはこういうことなのではないかと思う。
 気軽に雇用・解雇しやすくなると失業率が減少することは経済学では知られているので、社会全体としては得になるはずなのだが、仕事が海外に逃げてしまったりするので、必ずしも日本の失業率が改善されるのかどうか、というあたりは私も確信がない。世界の労働市場という意味ではプラスになるとは思うが。