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一経営者の四方山話

個人的に関心を持っているイシューについて考えたことを書いています。経営、経済、文化、学問など多岐に渡ります。

ヒューストンのティファニー

 1992年頃の話だが、当時私は永田町にある自由民主党の党本部で働いていた。その時にアメリカ政府のプログラムでアメリカ政治の草の根を学ぶ旅行プログラムに招待され参加した。全部で2週間程度のプログラムで、ワシントンDCで上院議員や下院議員と対談したり、イリノイ州の田舎の家に2日間ほどホームステイしたり、党大会に参加したり、盛りだくさんで非常にアメリカの草の根の民主主義が分かるプログラムであった。参加者は世界から50人くらいだったような気がする。全部合衆国政府が費用を払ってくれるプログラムなので、たぶんその後予算カットされて存在しないプログラムかもしれない。
 
 あのプログラムに参加する人は、私はそうではなかったけれど、それぞれの国で10年後には国のリーダーになっていることが期待されるような人たちばかりであった。アフリカのある国の大統領の息子とかデンマークの政党の若手リーダーだとか。冷静に考えてみると、そういう人たちに親米感情を持ってもらおう、という政治的意図があったのかもしれない。実際、私も従来から持っていた親米感情が強まったし、参加者の中にもアメリカの民主主義を心から礼賛する人たちも散見された。
 
 そのプログラムの中で、最も私にとって思い出深いのが、テキサス州ヒューストンだった。パパのブッシュ大統領が選ばれる(そしてクリントン候補に選挙で負ける)共和党大会が開かれたのがヒューストンだったので、そこの見学のためにヒューストンに行ったのだが、党大会そのものはセレモニー色が強いのでそんなに面白いものではない。しかし、朝早く起こされてバスで連れて行かれたのがヒューストンにあったティファニーのお店だった。普段は朝10時開店なのに、朝8時に特別にドアを開けてくれてティファニーのお店にプログラム参加者全員が入って行くと、そこではお店のカウンターや商談用テーブルなどを利用して朝食が用意されていたのだった。まさに、オードリー・ヒップバーンの「Breakfast at Tiffany's」状態! フレンチトースト、ローストビーフサンドイッチなどがコーヒーが出されていて立ち食いだけど、とてもおいしくて非常に贅沢なひと時を過ごさせていただいた。ティファニーの従業員も我々のために早く店に来て、かつ、食べ散らかしたあとの掃除とか、余計なことをいっぱいやらされていただろうに、終始笑顔ですばらしかった。その思い出は、その後の人生でティファニーの袋を見るたびに思い出される出来事であった。
 
 とても政府がやるような企画ではないのだが、税金を使ってそういうことをやってくれる米国政府の太っ腹ぶりと企画力に感動した。日本政府も留学生なんかに、こんなことを企画してやったりしているのだろうか...。