一経営者の四方山話

個人的に関心を持っているイシューについて考えたことを書いています。経営、経済、文化、学問など多岐に渡ります。

勉強と問題意識

昔に読んだことのある本を、もう一度ぱらぱらページをめくると「あれ?こんなことが書いてあったっけ?」と思うと、「せっかく読んだのにもう忘れている」とか思ってちょっと焦る気持ちになったりしたことがある。それどころか、書店で本を購入してきて、読み始めて、だいぶ経ったところで「あれっ? 前に読んだことがあるような...」と思って、私の読書日記を調べてみると、確かに読んでいたりする。さすがに同じ本を3回購入したことはないが、同じ本を2回購入したことは10冊あるかも。いささか自分に呆れるし、焦る気持ちにもなる。
でも忘れるのは、自分の中に問題意識が形成されていないためにinputした内容が自分の中で引っかからないからだ、と思うと、ある意味安心できた。

特定の分野に関する問題意識がない、ということは、別の言い方をすると「アンテナが立っていない」状態とも言える。たとえば現在でも私には例えば高等数学に関する問題意識がないから、高等数学に関する話とかは全く記憶に残らない。(高校数学ではないよ!)だから「なんでもいいから多読しろ!」というようなアドバイスには疑問を私は持っている。問題意識がないところにinputしても記憶に残らないし、自分の身にならない。だから問題意識を醸成する過程が必要で、考える時間が必要だ、ということになる。本を1時間読んだら、1時間内容について考える、というようなプロセス、これが必要だ。それも立派な「勉強」だと私は思う。
仕事でも、よく「まぁ、勉強だと思ってやってみな」と上司から昔言われることが多々あったが、経験した後に、経験した内容の意味合いを考えるプロセスを省いてしまったら、「勉強」にならないし、自分の中に残らない。だから時が経つと忘れてしまう。

時を重ねても、自分の中に残ること、それが勉強の成果であり、自分を形づくるすべてなのだ。