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一経営者の四方山話

個人的に関心を持っているイシューについて考えたことを書いています。経営、経済、文化、学問など多岐に渡ります。

既存の枠組みを信じてはいけない

『0ベース思考』(スティーヴン・レヴィット、スティーヴン・ダブナー著 Think Like a Freak, by Steven D. Levitt and Stephen J. Dubner)を読むと、ホットドッグの早食い競争で優勝した小林尊(たける)さんの話が出てきて、おもしろい。私はこの本で彼のことを初めて知ったんだけど、早食い業界(どんな業界だ?)では世界的に有名らしい。

12分間の間に何個ホットドッグ(正確にはHDB, Hotdogs and buns)を食べられるか、という勝負。小林さんが出場するまでの従来の記録は12分間で25個と8分の1だった。しかしKobi(コービー)こと小林くんは小柄で華奢な体でありながら12分間で、50個も食べた。1分間で4個以上を食べるペースだ。この記録の飛躍ぶりは、100メートル競走の記録で言えば、いきなり4秒台が出たようなもの(と著者は書いているが、このたとえはちと無理があるような...)。
コービーはさまざまな方法を実験して、エクセルにデータを入力して、どんどん、だめな方法を却下していった結果、ベストの方法を考案し、それは以下の方法であった。
1. 食べる前にソーセージとパンを半分に割る。(Solomon methodと後に呼ばれた。聖書の故事に由来。)
2. ソーセージとパンを別々に食べる
3. パンはぬるま湯に浸す(のどの滑りを良くし、かつ咀嚼筋をゆるめて、吐き気を防止する目的。)
4. 睡眠を十分にとる。
5. ウェイトトレーニング(強い筋肉は咀嚼力を高め、吐き気を我慢するのに役立つ)
6. 飛び上がったり体をくねらせながら食べると、胃にスペースができるらしい。“Kobayashi Shake”と後に呼ばれる。

これで彼はその後6年間連続優勝し続けた。その後他の選手も彼のやり方を真似したりして、次第に追いつかれてしまったらしい。
1対1のガチンコ対決で、彼が負けたケースもあって、コビーは2分半で31本のソーセージを食べたが、敵は50本も平らげた。その敵とは、体重500キロのアラスカヒグマだった。

コビーの優れたところは、既存の記録の数字は一切考慮せず、mental limit(頭の中での制限)を持たないようにしたこと、そして問題を定義し直したことだった。それまでは「ホットドッグをいかにしてたくさん食べるか?」ということを従来の選手は考えていた。しかし彼は「ホットドッグをいかにして食べやすくするか?」ということで考え直したのだった。要するに「既存の枠組みを信じてはいけない」ということだ。