一経営者の四方山話

個人的に関心を持っているイシューについて考えたことを書いています。経営、経済、文化、学問など多岐に渡ります。

選挙と民主主義

「たとえ5000万人が間違ったことを正しいと主張したところで、真実にはならない」(イギリスの作家サマセット・モーム)という言葉を引用して選挙で負けた人たちは言いたいだろうが、民主主義は選挙がすべてなので、負けは負け。負けた候補者が自分が正しいと思っていることを主張しても、有権者に受け入れられて投票時に自分の名前を書いてくれない限りは物事は進まない。
 
正しいことを実現しようと思うと:
1. 正しいことを主張し何としても実行しようとする候補者が現れる。
2. その候補者が地盤(支持組織)・看板(知名度)・かばん(金)を持っていてくれれば当選可能性が高まる。
3. その候補者が有権者へ説明して説得する能力が高い。
4. そこの有権者が「正しいこと」を理解する能力が比較的高く、かつ投票行動にきちんと出ること。
というような条件が重ならないと実現しない。大抵はそうはならないので、全面的に正しいことを行う候補者ではなく、斑(まだら)色の政策になってしまう。それでも前進は前進だ。
ただし、各種政策をパッケージで「せーの!」で一気に実施しないと駄目で、個別の政策を順次やっていくだけではできないような改革(外国人の受け入れ問題とか税制改革とか)の場合は、上記の条件がいくつか重ならないと不可能。
「機が熟する」のを待つしかない、というあたりに民主主義の限界を感じたりする。それ自体、有権者の大半が納得して実行されるので良いところでもあることはありますが。
現代社会は複雑さが増して、何が「正しいこと」なのか、必ずしも明瞭ではないという問題もありますね。