一経営者の四方山話

個人的に関心を持っているイシューについて考えたことを書いています。経営、経済、文化、学問など多岐に渡ります。

人体六〇〇万年史と経営

人体六〇〇万年史 (ダニエル・E・リーバーマン著、早川書房)を読むと、類人猿と違って人間がなぜ文化を発達させたかと言うことについて、大脳発達よりも「骨盤の形状が変わって、左右にぶれずに、二足歩行で、長距離歩けるようになったこと」が類人猿と分かれた理由だったということらしい。つまり頭が良くなる前に、たくさん歩けるようになったことが大きい、ということ。
我々人間が走った最高速度は他の大型哺乳類と比較して遅いのだが、普通に歩く時速3〜4kmとかだと何十kmでも歩き続けることができる。
ところが猿の骨盤は人間のような形状になっていないので、ゆさゆさと左右にぶれて、数キロ歩くだけで疲れるほど、体重移動によってとてつもないカロリーを使ってしまうのだそうな。確かに、猿が歩くのを真似して歩くと疲れる。
人間が何十kmも歩けると何が得って、食料の確保だ。食べ物を求めて、どこまでも歩いて行くことができたわけだ。人間が哺乳類を素手で捕まえようと思うと足の最高速度が問題になってくるかもしれないけど、木の実を採るとかなるとどれだけの距離を移動できるか、という方が大切になってくる。移動できる距離が大きくなることによって環境変化に強くなるわけだ。
 
企業が生き残り続けるためにも、ネットだの人工知能だのいった社会の急激に変化するスピードについていく「自分が変化する最高速度」で勝負する会社もあるだろうけど、ゆっくりではあるかもしれないが、とんでもなく違う業界/市場へゆっくりと移行し続けることによって生き残る会社、というのもありだな、などと考える。