一経営者の四方山話

個人的に関心を持っているイシューについて考えたことを書いています。経営、経済、文化、学問など多岐に渡ります。

判断疲れ

PEAK PEFORMANCE 最強の成長術(ブラッド・スタルバーグ/スティーブ・マグネス著、福井久美子訳、ダイヤモンド社、2017-11-22)を読んでいたら、以下のような記述があった。ちょっと驚いた。

p.227
裁判官には、提出された証拠に基づいて公正な判決を下す責任がある。裁判官というは、ノイズや先入観を巧みに排除し、どの事件も中立的な立場で裁定するものだと思われている。ところが、驚くなかれ、裁判官の裁定は、同日に何件判決を下したかに影響されるというのだ。
例えば、裁判官たちが仮釈放を許可した割合を調べたところ、午前中は65%だったが、同日夕方は0%だったという。
裁判官たちはいわゆる「決断疲れ」に屈したのだ。何件も裁定を下すうちに精神的に疲弊してしまい、事件を真剣に検討するだけの元気がなくなった。かくして仮釈放を許可しないという楽な選択肢を選んだというわけだ。
重要な判断を下すという責務を担いながら、決断疲れから逃れられない専門職は、裁判官に止まらない。
最近の調査によると、内科医も1日の経過と共に消耗していき、診断ミスを犯す確率が高くなるという。その研究の筆頭著者であるジェフリー・リンダー博士は、『ニューヨーク・タイムズ』紙で次のように語っている。
「つまるところ、医師もしょせん人間だということです。診察の終了時間が近づくにつれて疲弊して誤診しやすくなるのです。」

疲れない人工知能の方が公平な判断をしてくれそうだ。病院には午前中に行っておいた方が良さそうだ。(笑)
ちなみにこの本では「負荷+休息=成長」という例がこれでもかこれでもか、と出てくる。練習ばっかりやってクッタクタになる練習だけのような高校の野球部ではダメで、休息を取ることによって成長する、という当たり前のことを教えてくれる。

もう一つ紹介すると:
p.239-240
例えば研究結果によると、太った友人が一人いると、あなたまで太ってしまう可能性が57%も高くなるという。一人の友人が煙草をやめると、あなたが喫煙する可能性は36%減少するそうだ。友人の友人や、そのまた友人といった間接的な関係でも影響力は意外に大きい。仮にあなたの友人の友人が肥満だった場合、あなたも肥満になる可能性は20%高くなる。顔を知っている程度の友人が煙草を吸い始めただけでも、あなたも煙草を吸い始める可能性が11%高くなる。
要するに、どんな人と付き合うかで、あなたの行動は大きく影響されるということだ。何をいつやるかだけでなく、誰とやるかも重要なのである。

「朱に交われば赤くなる」どころか、「朱に交わって赤くなっている人と接すればピンクになる」ということか。