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一経営者の四方山話

個人的に関心を持っているイシューについて考えたことを書いています。経営、経済、文化、学問など多岐に渡ります。

転職のためのインタビューの心得

 私の人生で転職は全部で5回やっているのだが、採用する側として転職してくる人のインタビューは数えたことはないが多分1000人近い。うち8割は日本人、2割は外人。そんな経験の中で面接時のアドバイスの一つとしてこんな質問をすべき/すべきでない、というものをここに記しておく。

 

1. 一般論として面接時にはなるべく質問をした方がいい

 採用側が一方的に質問をして候補者が一方的に答える、というパターンが日本人には多い。一通りこちらが聞きたいものを聞いた後に「こちらばっかり尋ねていますが、そちらから質問はありませんか?」と聞いた時に「いえ、特にございません」とか言われると、非常にがっかりする。こちらとしては「この人、本当に当社に興味があるのかいな?」「十分に分かっているのかな?」という疑問が湧いてきてしまうからだ。興味があれば、必ず質問があるはずだ。何も質問がないということは候補者側が何の準備(homework)もしてこなかったのではないか、と思われても仕方がない。ただし、非常にconfidentialな案件の場合(例えば既存のCFOをreplaceする案件とか)、候補者側が会社名とかポジションとかを十分に知らされていない場合もあって、準備ができない場合もあったりする。それでもまともな思考能力のある人は質問はできると思うが。

 

2. Googleで調べれば分かるような質問はしない。

 その会社が公開企業であるのに、「御社の昨年の売上はいくらですか?」「なにが一番売上の大きい商品ですか?」などという馬鹿な質問はしないこと。ちょっと調べれば分かる。

 マネジャー以上のポジションだったら、会社の今後目指している方向とか経営課題とかも社長の雑誌インタビューとか営業報告書とかでも分かることが多い。そういうhomeworkをちゃんとやってきた候補者はインタビューしても気持ちが良い。

 

3. 給与、有給休暇、などの質問はしない

 ヘッドハンター経由でそのopportunityを知ったのならば、給与や有給休暇、その他のbenefitをインタビューで尋ねないこと。それらはヘッドハンターが聞いてくれるはず。ただし、採用側が「差し支えなければ、現在の給与がいくらか教えていただけますか?」と聞く場合があるので、その時は正直に答えるべき。

 

4. その会社に対して自分のオピニョンを言わない

 よほどの自信がないと、インタビュー時にその会社のゆくべき方向とかのオピニョンを述べるのはやめたほうがよろしい。いくらhomeworkをやってきたとしても、その会社で働いている人の方が圧倒的にその会社のことを考えてきたし、知っているのであって、あなたの浅薄な調査に基づいた意見は大抵は本筋を外れているか、「そんな意見は耳にタコができるほど聞いてきたよ!」と言いたくなるほどの内容のものになりがちなのだ。そんなのは採用側は聞きたくないし、印象を悪くするだけ。

 面接時に、「どうだ。俺はお前の会社のことをよく知っているだろう?」と自慢をしなくてもよろしい。

 

5. 現在どのようにこの業務は行われているのでしょうか、と尋ねるべき

 例えば、マーケティングマネジャーのポジションの面接だとすると、「現在、どのようにこの仕事は行われているのですか?」と尋ねるのは正しい質問だ。Googleで調べても出てこないだろうし、同じマーケティングマネジャーのポジションでも会社ごとにやり方が異なるし、自分が実際に採用されてやらなければならない仕事はまさにその仕事なのだから。

 つまり業務の各プロセス、その時にどんな問題がありうるか、誰とコミュニケートしながら進めているのか、など実務上知っておきたいことだらけだ。これは人事部の人と話してもしょうがない場合が多いので、会社によっては2回目のインタビューで尋ねないといけない場合もあるかもしれない。

 

6. 自分の頭の良さを自慢しなくてよい

 面接時に、いかに自分が頭が良いかを証明しようとするな、Don't try to prove that you are smart! とは私が昔通っていたビジネススクールのHRの先生が言っていた言葉だ。なぜなら賢いかどうかはちょっと話せばすぐに分かるからだ。それをことさらdemonstrateしようとするのは、面接する側としてはしつこい感じがしていやになることがある。

 ただし、採用する側の人間よりはるか上をゆく賢さの候補者の場合だと、採用する側としては、「候補者の賢さのレベル感が自分よりも賢いことは確かだがどのくらい賢いかが分からない」という状態になることもある。それでもOKだ。十分に賢いことは分かるので。

 私の場合、ソフトウェアエンジニアの採用でこんな人に何人か会ったことがあって、私の知性レベルではどれだけこの人が有能なのか測りがたい状態になった。

 

 最後に今まであった候補者からの質問で一番馬鹿な質問をあげると:

1. 「興信所とか使って私の背景調査とかなさるんでしょうか?」

 調べられて困ることがなんかありそうだな、と思うこと確実。こんな質問をする時点でこの候補者は駄目。

2. 「どのくらい早く昇進できますか」

 そんなの働いてみないと分からんだろ!と言いたくなる。

3. Do you check criminal record? (犯罪歴を調べますか?)

 これは米国で面接した時だが、こんな質問をした時点で駄目だ。ちなみに米国では面接時に、Could you tell me your criminal record?と尋ねても違法ではないらしい。