一経営者の四方山話

個人的に関心を持っているイシューについて考えたことを書いています。経営、経済、文化、学問など多岐に渡ります。

2016-01-01から1年間の記事一覧

認識とは不要な情報を捨てること

組織内のポジションが上になればなるほど細かいことは調べたり考えたりする暇はなくなるので、物事の本質にしか興味がなくなっていくものだ。部下からの長ったらしい報告を途中でさえぎって「要するに何が問題なんだ?」とか「俺に何をして欲しいのか結論か…

企業の新陳代謝力とベンチャー企業の出口戦略

「誰に向かって何を売るビジネスを営むのかという事業の「立地」や、売ると決めたものを売ると決めた相手にデリバリーするまでのプロセス(これを私は事業の「構え」と呼んでいます)は、思い立ったからといって、簡単に変えられるものではありません。だか…

早く行きたければ一人で進め。遠くへ行きたければみんなで進め:ダイバーシティ論

アフリカの諺で「早く行きたければ一人で進め。遠くへ行きたければみんなで進め」というのがあるらしい。登山でも同様で、単独行の方が自分のペースで行けるから早く目的地に着ける。団体行動だとボーイスカウトの行進みたいに一番遅い人のペースに合わせる…

時を重ねても自分の中に残ること

本を購入した後に読み始めて「あれ?なんか読んだことがあるような...」と思って調べると、確かに10年前に読んでいたりする。でも再度読んでみると、かなり忘れているので、新鮮に読めたりする。 「こんなに忘れているんだったら、読んでいる意味があるの…

人類の身体能力は低いのに比類ない繁栄を謳歌できているのはなぜか?

万物の霊長と呼ばれる人類と言えども、別に各身体的能力が他の動物に比べて優位にあるわけではない。聴力一つとっても、人間が探知できるのは20ヘルツから2万ヘルツの間のみ。2万ヘルツを超える高音域では、コウモリが真っ暗闇を飛行しながら超音波を発…

芸術作品が創られた時の作業環境を想起すること

『色の力』(ジャン=ガブリエル・コース著、CCCメディアハウス、2016−06−05)という本を読んでいたら、以下の記述があった。 --- quote, p.29 ---- かつては、高名な画家であろうと貧乏絵描きであろうと、ろうそくの明かりだけで絵を描いていた。つまり画家た…

たった10セントでこんなに人間の行動は変わる

『マッキンゼー流最高の社風のつくり方』(ニール・ドシ、リンゼイ・マクレガー著、日経BP, 2016-08-01、原題Primed to Perform, How to build the highest performing cultures through the science of total motivation.)という本を読んでいて、最も驚いた…

「無節操に」自分の仮説を捨てる

何か新しいことをやろうとすると、未知の要素が多いので、仮説をいくつか持って始まるわけだが、実際に始めてみると、自分の立てた仮説の正しさを証明しようという意識が強くなりがちだ。でも、仮説思考の価値を生かすために本当に大切なのは「仮説を証明す…

パーキンソンの法則

パーキンソンの法則というと、私にとっては「仕事というのは、時間があるだけ増える」、だから「役人の数は、仕事の量とは無関係に増え続ける」という内容で記憶しているのだが、それ以外に調べてみて考えさせられたのが:「(一人の求人枠について)完璧な…

顧客の意見 vs. 自分の考え

『イノベーションのジレンマ』のクリステンセンの発見を、簡単にまとめると:失敗した企業は、新しいアイディアを無視したわけではなく、それとは全く反対に、多くの場合、問題になっているテクノロジーを率先して開発してはいる。マーケットリーダーなのだ…

自分が持っている前提を疑う

1900年のニューヨーク市では、一日あたり1100トンの馬糞、220キロリットルの尿が路上に垂れ流されていた。市内では毎年何千頭もの馬が死亡し、市当局が腐って膨れあがった死骸を片づけなければならなかった。都会において馬が諸手を挙げて歓迎されていたわけ…

目標を明確に意識すること

1979年に、ハーバード大学のMBAの卒業生に将来の目標ついてインタビューしたところ、回答と構成比はこういう結果になった。 A 目標を紙に書いた。3% B 目標はあったが、紙には書かなかった。13% C 目標を持っていなかった。84% 10年後、追跡調査をしてみると…

現実的なリスク管理

何らかの不確実性やリスクはビジネスを進めていくうえで避けられないが、最近よく考えるのは、ネガティブな事象が発生する確率を想定するのは困難な場合が多く、発生確率で考えてもしかたがないということ。担当する人、事業内容、時、競合や顧客の環境、な…

選挙と民主主義

「たとえ5000万人が間違ったことを正しいと主張したところで、真実にはならない」(イギリスの作家サマセット・モーム)という言葉を引用して選挙で負けた人たちは言いたいだろうが、民主主義は選挙がすべてなので、負けは負け。負けた候補者が自分が正しいと…

伝記と時代背景

小学生の時にキューリー夫妻の伝記を読んだ時に、科学の発見や発明というのは命がけだな、と思った記憶がある。しかし大人になって、あらためてキューリー夫人とかの話しを読むと、当たり前だが子供の時に気付かなかったことに色々と気付かされる。 『世にも…

人工知能考:いかに悪人がAIを使って悪さをさせないかが大切。

先日、人工知能(AI)の勉強会に参加した。私の問題意識は簡単に書くと:・AIという技術そのものは善でも悪でもない。包丁や核兵器そのものが善でも悪でもないの同じ。使う人によって善にも悪にもなりうる。・つまりAIを使って悪事をなそうとする人々(ISと…

失敗力とリスク耐性

「自分がやったことは大体失敗してきた。しかし、ときにはびっくりするくらいうまく行くことがある。それを味わうと何回失敗しても怖くない」(大村智、2015年ノーベル医学・生理学受賞)という言葉を知ると、要するに失敗に対する感性を低くして、いわば「…

読書というメンタルトレーニング

米国の小学校でボランティアのゲストスピーカーとして「日本の小学校」とか「日本の政治制度」といったテーマで話したりしていたことがあるのだが、米国の学校ってやたらと読書をさせる。国語の授業って要するに読書の授業なんだよね。私が見た中学の国語の…