一経営者の四方山話

個人的に関心を持っているイシューについて考えたことを書いています。経営、経済、文化、学問など多岐に渡ります。

今日やれることをなぜ明日に延ばしてしまうのか

 「今日やれることをなぜ明日に延ばしてしまうのか」ということについて考えてみた。どうも自分の行動を見ると、重要なことを「これは今やらなくても明日やればいいや」と思って、実際は未来永劫やらない、もしくはどうしようもなく切羽詰まってから仕方なくやらざるをえなくなってやる、という傾向がある。自分で自分の心をよーく考えてみると、要するに「あとで取り返せる」とか「明日は今日と違う」という前提があるように思える。

 心理学ではmoral licensingとかmoral self-licensingという表現があるようだが、道徳的行動を取った人は非道徳的な行動をとる時に「自分は道徳的行動をしたんだから、今度は非道徳的な行動をしてもいいだろう」と思ってしまう傾向が人間にはあるようだ。例えば、「サラダを食べたんだから、ラーメンを大盛りで食べたっていいよね」とか「起業についての本を買った。まだ読んでないけど、早いけどもう寝るか」とか考えるような傾向だ。当然、サラダを食べたからといってカロリーが減るわけでもないので、ラーメンを大盛りで食べる論理的根拠はない。起業の本を買ったからといって、読んでもいないし、寝ている間に自然に起業していた、なんてことはない。良さそうな内容の投稿があるとブックマークをしただけで満足して読まない、とか心当たりある人、多いでしょう?

 もっとひどくなると、将来道徳的行為をすると自分を納得させて現在不道徳な行為をする、ということにもなりがち。つまり、今ビッグマックとフライドポテトのラージサイズを食べるけど、次に来た時はサラダを食べようっと、などと考えてしまう行為。「将来発生する道徳的行為(実際は発生しないことが多いのだが)」を今やったような気分になってしまうのだろう。「後で取り返せる」とか「明日からの自分は違う」と考えてしまう。

 これへの対策としては、「明日の自分は今日の自分と全く同じなんだ」と自分を言い聞かせることなんだろう、と今は自分を説得している。要するに「明日も今日と同じような日だったら最高だなぁ」と思えるくらい今日を充実させることができればいい、ということだ。